辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 気づいているのかいないのか、トーリの足はぱたぱたとしている。レーケの蜂蜜ともなれば、かなり栄養価が高そうだ。

「メディックビーの蜂蜜とは、贅沢だな」
「陛下は多少贅沢をしてもいいでしょ」

 いひひと笑うトーリは、自分が特別なことをしている自覚はないらしい。メディックビーの蜂蜜は、かなり入手が困難な品なのに。
 とはいえ、トーリはレーケだけではなくメディックビーの群れと仲良くしているようだから、彼からしたらそんなに貴重な品でもないのかもしれない。彼が領主を務める開拓村でも、メディックビーの蜂蜜を特産品として売り出す予定だったから。

「そうか、多少の贅沢は許されるか」

 トーリの笑みにつられるように口元を緩めてから、もう一口。
 じんわりと広がっていく甘さと温かさが、ささくれだった心を温めてくれるようだ。

(そうだな、私は皇帝だ)

 自分でこの道を歩むと決めた。アルヴァリクなぞにいつまでも心を残している場合ではなかった。

「んん、美味しい! 陛下、レーケの蜂蜜を使ったお菓子もきっと美味しいと思う」
「そうだな、そのぐらいの贅沢は許されるか?」
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