辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
「私も、きちんと歯を磨かなくてはな」

 もう眠りに落ちているトーリには聞こえないだろう。だが、自然に彼の額に口づけていた。

「お休み、トーリ」

 リュディアの寝室では、夜番の侍女達が眠ることもなく待っているのだろう。明日からは、彼女達ももう少し早く眠れるようにしてやった方がいいかもしれない。
 トーリのベッドの側に丸くなったガイストは、何か言いたそうにこちらを見上げて口を開いたり閉じたりしている。

「すまないな、そなたの言葉はわからないんだ。トーリを頼む」

 そう言って頭を撫でれば、尾が左右に振られた。
 眠った子供を起こしてしまわないよう、そっと扉を閉じながらリュディアは微笑む。
 トーリを迎え入れたのは思いがけないきっかけだったが、こんな時間は悪くない。そっと頬に手を当ててみると、唇は笑みの形に口角が上がっていた。
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