辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
「なんてことだ、すぐに屋敷に戻るぞ。司祭様、このことは他言無用だ」
「……心得ております」

 そう言って頭を下げた司祭は、こういうことには慣れているのかもしれない。トーリの方には同情したような目を向けたけれど、司祭にできることなんて何一つなかった。
 教会に向かう時のうきうきとした空気はどこへやら。帰りの馬車の空気は、完全に重苦しいものになっていた。
 教会に行くときは両親の間に座っていたのに、帰る時は対面の席にトーリ一人。正面に座っている両親は、トーリを見たくもないというように視線をそらし、しきりにひそひそとささやき合っている。

(聞こえてますけど! 完全に聞こえてますけど!)

 馬車の揺れである程度声は消されてしまうが、それでも両親が何をささやき合っているのかはわかる。どうやらトーリをラプハート辺境伯家から出して、どこか遠くに追いやるらしい。

(……ほら、手のひら返された)

 前世では、様々な物語に接する機会があった。
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