辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 キヴィがこちらを見上げるが、トーリは首を横に振った。ガイストは、前足で鼻を押さえ、地面を転げ回ったままだ。
『わかったわ! 任せて!』

 そう叫ぶレーケの声が聞こえてくる。トーリが持ち上げられたのに気付いた皇宮の騎士達もこちらに駆けつけてくる。
 魔術を放とうとした騎士を、仲間の騎士が止める。

「トーリ様にあたったら、どうするんだ!」
「だが、このままというわけにもいかないだろう!」

 そんなやりとりをしている間にも、トーリはぐんぐんと空高く登っていく。魔物の爪が、お腹に食い込んで痛い。

(……ここから落とされたら死ぬな)

 下を見るとぞっとしてしまうので、トーリはぎゅっと目をつぶった。そうすると、今度は身体に食い込んでいる爪の存在をまざまざと感じてしまう。
 一応、突き刺さないように気を配っている――魔物にそんな知能があるかどうかは別として――みたいだが、痛いものは痛いし、怖いものは怖い。
 そうしている間に、トーリは皇宮から連れ出され、そのまま皇都からも連れ出されていた。どこに向かっているのかまったくわからない。

(……あ)

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