辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 ふと上を見上げたら、魔物よりもさらに上空に蜂の姿が見えた。レーケの群れのメディックビーかもしれない。
 レーケが、群れに指示を出して、トーリの後を追わせたのだろう。空までは、キヴィやガイストの能力は届かないから。
 やがて、魔物が下に下りていく。下りたのは、森の中だった。

「あいたたた……」

 自由になったトーリは、今まで鷲掴みにされていたお腹のあたりを手で押さえた。刺さってはいなかったが、食い込んでいた爪の跡が痛い。

「……ここ、どこだろ」

 とつぶやいた時だった。今度は、背後から袋がかぶせられる。

「うわっ!」
「おとなしくしていろ。さもないと殺すぞ」

 とささやきかけてくるのは、低い男の声。

(……僕を餌にしようってんじゃなかったのか)

 てっきり、トーリを美味しそうな餌だと思った魔物が、トーリを連れ出したのかと思っていたのに。しかし、人が関わっているとなると、これはなんらかの陰謀ということになる。

(キヴィ、いる?)

『もちろんだとも。駆けつけるのが遅くなってすまない』

(ガイストはどう?)

『レーケの手当で持ち直した。いつでも、ここまで来られるぞ』
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