辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 文字の読み書きだけは、兄達の勉強を見て覚えていたので、書斎の本を読むことはできるけれど、誰もトーリが本当に本の内容を理解しているとは考えてもいなかったようだ。

(……もしかしたら、家族のことを信じていなかったのかも)

 なんとなく、ではあるけれど。
 兄達は、弟が自分の立場を脅かすのを恐れている気がする。タヴィオは剣術、ヴァイノは槍術。それぞれ辺境伯家にとって有益なスキルを授かった二人は、互いに警戒し合っているように見えていた。
 トーリが二人の目の中に入っていなかったのは、兄達が十歳、八歳ですでに家庭教師がついているのに対し、今日五歳になったトーリはこれからだという理由からだろう。
 本来ならば、明日から兄達と同じ家庭教師から学ぶことになっていたけれど、それもどうなることやら。兄達も、トーリの味方にはなってくれないだろうし。

(今、考えてもしかたないか。僕の扱いが決まったら、じっくり考えることにしよう)

 今は、情報があまりにも少なすぎる。考えることを放棄し、廊下に使った食器を出したトーリは、そのまま寝る支度を始めることにした。

< 20 / 159 >

この作品をシェア

pagetop