辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 リュディアはそれをラウガルトに持たせてくれたのだろう。怖い思いをしたエルヴィの心を慰めるために。もっと早く、トーリも気づけばよかった。

「トーリ殿と一緒に食べたいと、エルヴィもまだ味見をしていないんだ。どれでも食べてやってくれ」

 そう言うラウガルトの顔はやはり優しい父親の表情。トーリの胸がきゅっと痛む。今は、トーリにはこんな表情を見せてくれないだろうあの人達のことを思い出して。

「じゃあ、ハニーケーキをいただくね!」

 遠慮なく、大好物に手を伸ばす。メディックビーの蜂蜜は、普通の蜂蜜より風味が豊か。ここで作られる蜂蜜は、薬草の花々の蜜を集めていて、どこか爽やかな味わいだ。
 エルヴィも、ハニーケーキを手に取った。

「……美味しい。すごく美味しいわ! トーリ君は、このケーキが好きなんでしょう?」
「うん! すっごく美味しいね。次は、バニラクッキーにしよう」

『坊や、食べ過ぎはよくないわよ。エルヴィちゃんにも注意してあげてね』

 と、バスケットの側にとまったレーケが注意してくる。やはりどこか、母親のようなところがある。
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