辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 あの時、キヴィはトーリの側にいたけれど、仲間のノームがエルヴィを守っていた。万が一、エルヴィを誘拐した者が彼女に危害を加えないように。

「そうなんだ……ありがとうございます、キヴィさん」

『なに、坊主に頼まれただけだからな。細かいことは気にしなくていい』

 トーリの仲間達と挨拶をすませたエルヴィは、今度はシロツメクサの方に駆けて行った。蜜の味がよくなるからと、メディックビー達の提言で植えられているものだ。
 薬草園の花をつむのはだめだが、シロツメクサはつんでもいいというのはトーリも言われていた。

「冠を作るね!」

 エルヴィはじーっと目をこらしては、できるだけ形のいい花を選んで積み始めた。白い花を摘んで、花冠を編む様子は慣れている。もしかしたら、屋敷でいつもそうしているのかもしれない。
 敷物のところに座ったトーリは、その様子を見つめていた。
 平和だ。平和な光景だ。こうやって過ごすのは悪くない。
 先ほどまで一人で考え込んでいたのが嘘みたいだ。

「トーリ殿」

 不意に、ラウガルトが口を開く。

「何?」
「今は少しましになったが、今日は顔色が悪かった」

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