辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
「だが、そなたが望むなら、私はそなたを誰にも奪わせない。ラプハート家にも、帝国の貴族達にも、誰もそなたを奪わせない……」

 トーリは、カップを持ったまま固まった。またもやリュディアは思いがけない言葉を投げかけてくる。
 彼女から、そんな風に言われるなんて想像もしていなかった。

「あの夜、そなたは私の天幕に乗り込んできた。五歳の子供が、わずかな仲間と共に命がけで。あの時のことを、私は生涯覚えているだろう」
「……怖かったですか?」
「そうだな、だが面白いとも思った」

 あの時、彼女は顔を強張らせているように見えていたけれど、面白がる余裕も残っていたらしい。さすが、この国を背負っているだけのことはある。

(帰りたいか、か)

 トーリは自分の胸の中を確かめるように、静かに考えた。
 ラプハート家に戻りたいとは思わない。それははっきりしている。
 では、開拓村に帰りたいかといえば、それは少し違う。村の人達には会いたいが、それはいつでも会いに行ける。ガイストがいるから。
 では、今トーリがいたいのはどこなのだろう。

(……ここだ)

 答えはすぐに出てきた。
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