辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 この部屋ではなくて、この場所だ。リュディアがいて、ラウガルトがいて、ガイストとレーケとキヴィがいて、時々エルヴィが来て。そこが今のトーリの場所だ。

「……僕は、陛下の側にいたい」
「そうか」
「追い出されるまでは」

 そう言ったら、リュディアははんと鼻で笑った。なんだろう、彼女にこうやって笑われるのは嫌ではない。

「追い出すはずないだろう?」

 間髪入れずにそう返されて、トーリは目を瞬かせた。リュディアはもうトーリの方を見ていなくて、カップに視線を落としている。
 室内はほとんど明かりを落としていたから断言はできないけれど、彼女の耳がわずかに赤くなっているような気がした。

「……本当に?」
「しつこいぞ、トーリ。役に立つかどうかの話ではない」

 リュディアの声は、静かで、迷いがなかった。

「私が、そなたを望んでいるのだ」

 胸の奥にあった重いものが、するりと解けていく。
 役に立たなければ捨てられる、必要だと示し続けなければならない、そういう緊張がずっとどこかにあったのだと、腑に落ちるとはこういうことかと思わされる。

「陛下」
「なんだ」
「ありがとう」

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