辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 扉のところからトーリが振り返った時には、彼女はすぐに仕事に戻っていた。真剣なまなざし。国を守ろうと決めた強い目だ。
 扉を閉じたトーリは、そこに背中を預けて息をついた。

(来るなら来ればいい。僕は、僕なりのやり方で戦うから)

 少し前なら、こんな風には思えなかったかもしれない。でも今は違う。リュディアがいて、ラウガルトがいて、キヴィとレーケとガイストがいる。
 一人ではない。

「ガイスト」

『友よ、聞いていたぞ』

 影の中から滑り出てきた黒い狼は、いつも通りトーリに寄り添う。

「シャドウウルフ達へのお土産を貰ったら、村に行く」

『すぐに行こう』

「ありがとう」

 素直に礼の言葉を述べたら、ガイストは照れくさそうに一度だけぱたりと尾を振った。
 だんだんと夜が更けていく。
 開拓村に戻ったトーリは、今回も昼間のうちにたっぷりと昼寝をしておいた。前回は、トーリもリュディアの陣に乗り込んだけれど、今回はそこまでしなくてもいい。
 でも、自分が寝ている間に仲間達だけ行動させるのは違うと思った。だから、トーリも同行する。
< 241 / 266 >

この作品をシェア

pagetop