辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 ガイストは足元に伏せている。レーケは、肩の上で翅を休めていた。キヴィはとっくの昔に土の中に潜っていて、今頃は敵陣のすぐ近くまで行っているはずだ。

「レーケ、準備はいい?」

『ええ、坊や。子供達も、今夜のためにたっぷりと休憩を取らせたわ』

「ガイスト、群れの配置は?」

『抜かりない。逃げ道はすべて塞いでおいた』

「ありがとう」

『こちらも、いつでも行動できるぞ』

 と、キヴィの声が聞こえてくる。
 トーリは、対岸に目を向けた。目立たないようにしているみたいだが、ちらちらと野営の光が揺れている。

(父上も、来てるって聞いた)

 ラプハート辺境伯。自分を追い出した人。スキルを知るまでは、大切にしてくれた人でもある。
 トーリを取り戻すためという名目で、彼は今回の出陣に加わっていると聞いた。
 彼と顔を合わせた時、どんな気持ちになるだろう。考えてみるけれど、自分でもわからなかった。だから、今は考えないことにして、仲間達を見回す。

「……トーリ、私も行く」
「陛下! それはちょっと!」
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