辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
(帝国の追放者が、王国の兵と一緒にいる……それだけで、皇位を簒奪する意思があるって証明になるよね)

 ガイストの背に乗ったトーリは、静かに暗闇の中を進んだ。
 シャドウウルフ達とメディックビー達が先行して、見張りを一人一人つぶしていく。
 見張りは影に引き込まれ、すかさず睡眠薬を打ち込まれた。

「……見事なものだな」
「トーリが陛下の天幕に侵入したのに誰も気づかなかったのはこういうことですか。目の当たりにするとすさまじい」

 次から次へと兵士達を無力化していく魔物達の手際に、リュディアとラウガルトは感心したような声を漏らす。
 見張りをつぶしたら、今度は天幕の中で眠っている兵達だ。

「レーケ、お願い」

『行きなさい、子供達』

 ぶぅんと低い羽音が、静かな夜に響く。メディックビー達はすべての天幕へと散っていく。簡易寝台で眠っている者はより深い眠りを。話をしている者達は、その場でゆっくりと倒れ込んでいく。
 火の番をしている者も、こっそり酒を飲んでいた者も皆、あっという間に眠りの世界へと旅立った。

(……あの夜も、こんな感じだったな)

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