辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 眠っている顔は、穏やかだった。なんだかそれが腹立たしい。再びリュディアを殺そうとしたくせに。

「縛って」

『任せろ』

 トーリの言葉に、うきうきとノーム達が拘束していく。土から作り出された即席の拘束具だけれど、精霊の力が関わっている。生半可なことでは、破壊することなんてできない。
 次に向かったのは、ラプハート辺境伯家の天幕だった。
 父も、グラス公爵家の人々同様眠りに落ちていた。明日の作戦書類を確認していたようだ。
 トーリは眠っている父の顔を見つめてみた。
 記憶の中の父と、今目の前にいる父の間に、大きな違いはないように感じられた。

(……五歳の誕生日、何を食べたいか聞いてくれた時には、優しかったのに)

 チキングラタンと答えたら、料理人に命じてくれた。あの頃は、本当に大切にしてもらっていた。
 だからこそ、あの日の手のひら返しに深く傷ついた。ぐっと唇をかみしめる。

「……縛って」

『任せろ、坊主』

 キヴィに頼む声は震えておらず、平静なものだった。再び土から作り出される即席の拘束具。
『友よ、大丈夫か』

「うん」

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