辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
「お前達の剣の腕は本物だ。魔物の前に立たせれば、帝国の役に立つ。ただ、死ぬよりはましだろう。お前達は、この国が欲しかったのだから――せいぜい、この国のために役立って死ね」

 そう告げる声が震えていないことに、ひそかに安堵した。あの頃とは違う。あの頃のリュディアはもういない。
 北方魔物討伐隊は、生よりも死が身近な場所だ。ここで命を奪わなかったとしても、彼らの命は長くない。

「――リュディア!」

 叫ぶアルヴァリクの目の前に、リュディアは剣を突き出した。達人というほどではないが、自ら魔物討伐に赴く程度の腕はある。
 鋭い剣の勢いに、アルヴァリクは目を見開いた。口をぱくぱくとさせるが、声は出ない。

「――全員、連れていけ」

 そう命じると、素早く騎士達が動いた。アルヴァリクをはじめ、グラス公爵家の面々が連れ出されていく。
 扉が閉まる寸前、アルヴァリクがこちらを振り返ったけれど、リュディアは視線を合わせなかった。
 見る必要がなかった。過去を振り返るために、ここに立っているのではないから。

(……終わった)

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