辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 胸の中の空白は、まだそこにある。すぐに埋まるものでもないとわかっている。それでいい。

「陛下。大丈夫ですか」
「ああ、大丈夫だ」

 嘘ではなかった。正直に言えば、疲労感は覚えているけれどそこまでのことではない。

(……頼りにしている)

 口には出さなかった。出さなくても、伝わっていると知っているから。

 * * *



 ラプハート辺境伯が広間に連れてこられた時、リュディアはすでに席を外していた。
 これはトーリに任せると、彼女は言った。護衛として残ってくれたラウガルトだけが、扉の近くに立っている。
 父は、縛られたまま床に膝をついていた。
 トーリは、少し離れたところからその姿を見た。眠り薬で一晩過ごした後だから、髪が乱れている。いつも整えられていた髪が乱れているのを見るのは、初めてかもしれなかった。

(大きい人だと思っていたのに……そんなでもなかったな)

 記憶の中の父は、もっと大きかった。
 馬にまたがったきりりとした姿、鷹揚に笑う顔。今、目の前にいる人は、そんなトーリの記憶にある人とは別人のように見えた。

「……トーリ。大きくなったな」

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