辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 父が顔を上げた。
 大きくなった。それはそうだろう。あの日から、ずいぶん時間が経った。ひと月も会わなければ、トーリの年齢の子供なら大きく変わる。

「お前を、開拓村に追いやってしまった。すまなかった」

 父の声は、思ったより穏やかだった。怒鳴るでも、言い訳するでもない。ただ、そう言った。

(謝るんだ?)

 意外だった。もっと、プライドを盾にしてくるかと思っていた。トーリに謝罪するのなんか気に入らないだろうし。
 だがトーリは、その謝罪を受け取る気にはなれなかった。
 この人と、深くかかわり合いたいとはもう思わなかったのだ。

「許してくれとは言わない。ただ……」
「帰ってきてほしい?」

 トーリの言葉に、父の顔がぱっと明るくなる。

「……ああ、そうしてくれるのなら、ラプハート家の跡取りはお前だ。お前の居場所は、私達のところにある」

 今さらな言葉だった。

(場所、か)

 場所――スキルを知る前は、たしかにあったのだろう。家族に大切にされて、愛されて、何不自由なく育ててもらった。
 あの誕生日まで、ずっとそうだった。
 でも、今さらそれを言われても、どうしようもない。
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