辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 丸っこい身体の蜂達が、花を咲かせた薬草から蜜を集めているようだ。

(……これだけ大きな蜂なら、蜂蜜がすごくたくさん獲れるんじゃ……)

 そう言えば、屋敷を放逐されてから甘いものはほとんど口にしていない。トーリが下宿している村長宅では、時々夕食後に果物が出てくるけれど、そのぐらいだ。
 蜂蜜の濃厚な甘さを思い出して、口の中に涎がたまる。

(……いや、無理でしょ)

 こんなに大きな蜂、巣箱が用意できたとしても、蜜をとろうとしたら刺されるに決まっている。痛いのは嫌だし、村人にそんな危険を冒させるわけにもいかない。
『坊主、あれはメディックビーだぞ。薬草から回復薬を作れる。森の中で迷った者に薬を与えることもあるな』

 ちょいちょいとトーリのズボンの裾を引っ張って、キヴィが言う。

「そうなの? 薬を作ってもらえるならありがたいけど……僕と友達になってくれるかな?」

 薬草を育てているから、薬師に来てもらえないかと思っていたところだ。キヴィの説明によると、メディックビーは、毒も薬も作れるらしい。

(毒と薬は紙一重って言葉もあったしな……)

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