辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 また、女王蜂のために作られるロイヤルゼリーは、完璧な滋養強壮薬とも言われている。
 調教できれば一財産築ける魔物でもあるが、魔物とはいえさほど知能が高くない昆虫種。調教するのは難しい。

「はい、そうです。女王蜂のレーケ。彼女の群れに頼んで、陣地内にいる人全員眠らせてもらいました。今、そちらのラウガルトさん――だったかな? 彼には麻痺毒を。十分もすればとけるので、その間にお話をしちゃいましょう」

 パチンと手を打ち合わせて笑うトーリの表情は、完璧に無垢な幼子だ。だが、リュディアは、冷たい汗が背中を流れ落ちるのを感じていた。

「なるほど、メディックビーと契約していれば、我が陣に睡眠薬を散布することぐらいはたやすいか。そちらの狼は、シャドウウルフだな」

 先ほど、ラウガルトの剣を跳ねのけたのはこの狼だ。油断なく身構えたままこちらを睨んでいる狼は、喉の奥で低く唸(うな)る。

「ガイスト、大丈夫。陛下は、僕とちゃんとお話をしてくださるからね」

 恐れる様子もなく、トーリはガイストと呼んだ狼の背中に手を滑らせた。
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