辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 シャドウウルフ――狼のように群れを作って狩りをする魔物だ。影の中に身を潜める能力を持ち、森の中から外に出ることはないとされているが理論上はどこでも神出鬼没だ。
 長生きした個体だと、闇に関する魔術を使えるようになるとも言われている。こちらも恐るべき魔物と言えるだろう。
 リュディアは、相手の能力を慎重に見定めようとしていた。

「……トーリとやら、何が目的だ?」

 一万の軍勢を全員――この天幕内にいる二人を除いて――眠らせた相手だ。その気になれば、リュディアの命も、ラウガルトの命も、この場で刈り取ることができるはず。なのに、彼はそうしなかった。
 相手を怒らせてはならない。トーリ一人を斬ることはできても、次の瞬間にはレーケとガイストの反撃を食らうことになる。

「そう怖い顔をしないでください。僕の提案、陛下にとっても悪いものじゃないと思いますよ?」

 小首をかしげてこちらを見上げてくる様子は、とてつもなく愛らしい。自分の容姿がいいのをわかってやっている。
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