辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 メディックビー達の力を借りてリュディアの兵士達を眠らせたように、グラス公爵家にいる人々も全員眠らせてしまえばいい。
 それから悠々とエルヴィを救出すればいいのだ。もちろん、最初に飛び込んでいくのは父親のラウガルトで決定だ。

「……あー、あとね、陛下」
「なんだ?」
「ラウガルトさん、ちょっと気を付けてあげた方がいいかも」

 リュディアがわかっていない様子で首をかしげたので、トーリは小さな声で言った。

「実行まではしなかったけれど、陛下を裏切ろうとしてたでしょ? もしかしたら……」

 そこまで言ったところで、リュディアは表情を変えた。トーリの言いたかったことに気づいたらしい。
 そう、ラウガルトは責任感があって忠誠心に厚い男である。リュディアを殺すように脅されていたけれどまだ実行していなかったのは、彼の忠誠心だ。だが、それと同時に娘の命も大切に思っていた。
 主を取るか、娘を取るか。その狭間で迷っていた自分自身のことをきっとラウガルトは許せない。愛娘を救出する手段が見つかったとなればなおさら。

「気を付けておこう」
「……うん」

< 77 / 210 >

この作品をシェア

pagetop