辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 ラウガルトは、リュディアを殺そうと何度も思ったのだろう。そして、そのたびにこらえてきた。だからこそ、グラス公爵家のやり口が気に入らないに違いない。
 エルマーグに迫るラウガルトの顔には、鬼気迫るというのがぴったりの表情が浮かんでいる。

(エルヴィちゃんがここにいなくてよかったねぇ……)

 トーリは、どこか他人事のようにそれを見ていた。
 子供に見せるにはよくないからと、エルヴィはリュディアの侍女達に任せている。ガイストが遊び相手に立候補してくれたので、今頃は楽しく過ごしているに違いない。たしかに、子供に見せていい光景ではなかった。
 同じ子供であるトーリが、当然のような雰囲気でこの場に同席させられているのはちょっと納得いかないけれど。

「グラス公爵」

 リュディアは、公爵の方に向き直った。

「公爵――いや、叔父上。私は、あなたに温情をかけたつもりだった」

 そう語る彼女の声は、平坦なものだった。それが逆に、彼女の心の傷を表しているようだ。

「お前は甘いのだよ、リュディア。肉親の情を捨てられない」
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