辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 幼い頃から共に遊び、共に学び、いつしか、彼に隣にいてほしいと思うようになった。今は亡き先代皇帝、リュディアの父が、リュディアに帝位を継がせると決めた時、より強くそう願った。
 帝国は広い。リュディア一人では治めきれない。父も、それを理解していたのだろう。
 叔父――グラス公爵がアルヴァリクとの縁談を持ち掛けてきた時も、まったく反対せずに二人の仲を認めてくれた。
 公爵家の人々が去った広間をぐるりと見回す。磨き抜かれた床、天井から吊り下げられたシャンデリア。裾に金糸で刺(し)繍(しゅう)を施されたカーテン。
 室内に置かれている調度品は、いずれも一流のもの。
 初めてアルヴァリクとダンスをしたのも、この広間だった。
 共に手を取り合い、よりよい国をつくる。アルヴァリクとならば、それができると思っていた。

(私は、甘い……そう言われても、しかたないのかもしれないな)

 きっと、本当の女傑ならばアルヴァリクの首も、叔父の首も、エルマーグの首もためらうことなく刎(は)ねたのだろう。公爵夫人である叔母の首も。
 だが、リュディアはためらった。
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