辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 今、トーリとリュディアが話をしているのは、恐れ多くも皇帝陛下の私室である。リュディアが日常生活の場としているのは、寝室と居間を中心としたいくつかの部屋だ。
 たとえば、日当たりのいい談話室だとか、ずらりと本の並んだ私的な図書室――国政に必要な書物ではなく、冒険譚(たん)や恋愛小説など流行中の小説も含めて――だ。彼女が幼い頃読んでいたという絵本も大切に収納されており、トーリにも読む許可が与えられた。

(絵本かぁ……辺境伯家の図書室にもあったな)

 と、昔のことを懐かしく思い出してしまう。辺境伯家の図書室にも、たくさんの本があった。兄達と並んで絵本を読んでいた頃からまだ半年もたっていないはずなのに、どうしてかとても懐かしく思えた。あの人達のことは、忘れたつもりだったのに。

「すまないな、トーリ。そなたにとっては大切な人達なのであろう? だが、そなたを危険視する者も多いのだ。開拓村で暮らすのは今しばらく待て」
「……はい」
「それに、そなたは賢いが教育を終えたわけではないだろう。私が学んだ教師をつけてやろう」

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