辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 リュディアの言葉には、頷くしかなかった。トーリは教育を受けるところまでいっていなかった。文字の読み書きができるようになったのは、前世の記憶からそれだけはできた方がいいだろうと、兄達が読んでいる横で自主学習したものだ。四則演算は前世が日本人なので、基本的なところは大丈夫である。
 暗算だってお手の物だ。頭の中に算盤を思い浮かべることができるので。
 そんなわけで、トーリは皇帝の暮らす一角に部屋を与えられることになった。寝室と学習のための二部屋だ。寝室には衣裳部屋という名目の二十畳ぐらいはありそうな部屋がついていたので、実質三部屋と言ってもいいかもしれない。

「……落ち着かないな」

 与えられた部屋は、トーリが辺境伯家で生活していた部屋よりずっと広かった。ベッドも、トーリなら十人ぐらいは眠れそうな広さである。
 床に敷かれている絨(じゅう)毯(たん)もなんだか立派なものだし、一応貴族だったとはいえ、帝国との財力の差を思い知らされた。
『落ち着かないか? それなら、村に戻るか?』

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