生贄聖女ですが、モラハラクズ魔王と国を立て直します!
ソフィアの旅立ちの日、
国民たちはお祭り騒ぎだった。
魔族との長い戦いが終わり、平和が訪れる期待に溢れた瞳をしていた。
父であるアルトラス国王も、母も、妹、弟もだ。
ソフィアが魔族に用意された馬車に乗るとき、
それぞれ抱きしめて別れを惜しんでくれたが、
ソフィアの心に寄り添ってくれる人は誰一人いなかった……。
決められたように国民たちの前でソフィアは馬車の窓を開けた。
真っ白な美しいドレスを着た、薄幸の美少女、
聖女ソフィアは手を振った。
わあああああああああ
と国民たちの歓声が上がった。
ありがとう!
聖女万歳!
美しい!
と人々が口々に叫ぶ。
どんな称賛もソフィアの心を癒すことはできない。
ソフィアはどこか他人事のように手を振りながら眺めていた。
窓が閉じられ、城下町から出ると、
魔族の兵隊が迎えに来ていた。
魔国に向かうのは、ソフィアのみ……
メイドや兵もいらないと魔王から言われたからだ。
ソフィアは、
一人涙を流した……。