その黒曜、あまりに気高く、あまりに最狂
「総長たるもの、文武両道でなくては示しがつきませんので」

「総長……!? いま、総長と言ったかね!?」

教頭が色めき立つ。しかし、澪はふふ、と妖艶に笑って言葉を重ねた

「生徒会の『長』、という意味ですよ。先生。私は校則をただの一度も破っておりません。成績は常にトップ。素行もご覧の通り。そんな私の『根拠のない噂』を理由に役職を解任なさるおつもりですか? もしそんな理不尽が通るならば、学園の品位を落としているのは、生徒ではなく教頭先生、あなたの方ではございませんか?それに、生徒会に入っている彼らも成績は私には劣りますが成績はとても優秀ですよ」

誰にでも丁寧な敬語。
だが、その言葉は一分の隙もない完璧な刃となって、教頭のプライドを完璧に切り裂いた。

「くっ……!、九条、君……!」

言い返せる言葉を失った教頭は、顔を真っ赤にして、逃げるように生徒会室を飛び出していった

バタン、とドアが閉まると、颯太がパンを飲み込んで大爆笑した

「あははは! 最高! レイさん、今の一言マジでキレッキレじゃん! 教頭、顔がトマトみたいになって逃げてったよ」

「騒がしいですよ、三浦君。ですが……少し、すっといたしましたね」

澪はいつもの綺麗な優等生の笑顔に戻り、髪をサラリと耳にかけた

一ノ瀬がスマートに眼鏡を押し上げる

「お見事でした、レイさん。一般生徒を守るためには、表の権力もこうして黙らせておく必要がありますからね」

「ええ。ですが……」澪の目が、窓の外の遠い空へと向けられる

「教頭にあんな噂を吹き込んだ『誰か』が、学園のすぐ近くまで来ているようですね。……ふふ、楽しいことになりそうです」
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