【完】その黒曜、あまりに気高く、あまりに最狂
「へえ、あの狂犬チワワとパーマ頭ね。あいつらのバイクの集会ルート、明日、鳳の境界にある廃倉庫を通るんだろ? 入り口をトラックで塞いで、身動き取れなくしたところを二十人で囲んで叩け。あの敬語の女総長を引きずり出すための、良いエサだわ」


(……っ! 蓮先輩と陸先輩がハメられる……!?)


多久の心臓がバックバクに跳ね上がる。恐怖で手先が冷たくなった。だが、彼は一ノ瀬の言葉を思い出した。


『いいですか多久君、動揺してはいけません。主観を捨て、事実だけを並べるのです』


多久は震える手でスマホを操作し、一ノ瀬から教わった暗号化された連絡網に、今聞いた【時間・場所・人数】の事実だけを打ち込み、送信した。



――数十分後。夜の鳳学園・生徒会室。バタン!とドアが開き、多久は息を切らせて飛び込んだ。


「一ノ瀬先輩……! 送信したデータ、確認していただけましたか……っ!?」


デスクに座る一ノ瀬は、メガネの位置をピシッと直すと、手元の画面から多久に目を向けた。
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