お前だけを見ていたい、なんて本人には言えない。

あとがき 澪side

ここまで私たちの物語を読んでくれて、本当にありがとうございました♡  桜坂澪です。

まさか、あんな風に海里くんの視点から……しかも、あんなに恥ずかしい私の裏の気持ちまで全部読まされたあとに、今度は私自身の口であとがきを書くことになっちゃうなんて……!

今、パソコンの前で真っ赤になりながら、この原稿を打っています。

だって、海里くんがあんな風に私のことを考えてくれていたなんて、当時の私は夢にも思っていなかったんだもん……!

少しだけ、あの日のこと、そして海里くんと過ごす毎日のことを、私の視点から振り返らせてくださいね。

■ 海里くんは、いつだって「私の太陽」だった

皆さんから見て、海里くんってどんなふうに映りましたか?

きっと、「クールイケメン」「無愛想」「塩対応」……そんな言葉が真っ先に思い浮かぶんじゃないかと思います。

実際、学校での彼はいつもそうでした。

授業中は静かに教科書をめくり、話しかけても「……別に」「うるさい」って、ぶっきらぼうに返すのがお決まり。

でも、知っていますか?

彼は決して「冷たい人」なんかじゃないんです。

私が学校でちょっと転んで怪我をしそうになったとき、言葉もなくスッと手を差し伸べてくれたのは海里くんでした。

夏場の暑い日、自販機の前で私が「冷たいお茶がいいな」って独り言を呟いたとき、次の日の机の上に何も言わずに私のお気に入りのお茶が置いてあったこともありました。

言葉は足りないし、表情も全然変わらないけれど、彼の優しさはいつだって行動の端々に現れていたんです。

だから、私はそんな彼に恋をしました。

みんなが「多田くんって近寄りがたいよね」って怖がる中、私は彼の不器用な優しさが愛おしくてたまらなくて、勇気を振り絞って告白したんです。

あの放課後の教室で、「……いいよ」って言ってもらえたときのことは、一生忘れません。

心臓が飛び出るかと思いました。

夢じゃないかって、何度も自分のほっぺたをつねりたくなったくらいです。



■ 「秘密の恋」がくれた、甘くて苦しい毎日

だけど、そこからが本当に大変でした。

「学校では秘密ね」って言ったのは私自身なのに、いざ付き合い始めると、現実は想像以上に厳しかったんです。

学校の海里くんは、以前よりも増して塩対応でした。

周りにバレないようにするためなのか、私と目を合わせてくれないし、休み時間に話しかけようとしても、冷たくあしらわれることが多くて……。


あれ? 私たち、本当に付き合ってるんだよね……?って、何度も不安になりました。

そのくせ、休み時間になるとクラスの男の子たちが私に話しかけてきて、ワイワイと楽しく喋っちゃう。

私は私で、「海里くんに嫌われたくない」「重い女だと思われたくない」っていう変な見栄と焦りから、海里くんの前ではわざとそっけない態度を取ったり、普通に振る舞おうと空回りしたりしていました。

心の中では、毎日が大パニックでした。

「海里くんは私なんかと付き合って、本当は面倒くさいって思ってるんじゃないか」

「他に好きな子ができたらどうしよう」

「私だけが一方的に彼を好きで、負担をかけてるんじゃないか」

そうやって、自分一人だけが片想いをしていて、自分だけが海里くんに執着しているんだと思い込んでいたんです。

夜、ベッドの中で「今日も海里くんとうまく話せなかったな……」って、こっそり涙を流したことも一度や二度ではありませんでした。

私は海里くんに片想いしている気分で、ずっと苦しかったんです。




■ あの日の階段で、世界が変わった

だから、あの日の放課後の出来事は、私の人生で一番衝撃的で、そして一番甘い瞬間でした。

廊下で他の男の子と楽しそうに話していた私を、海里くんが突然腕を掴んで階段の踊り場へと引っ張っていったとき、怖かったのはほんの少しで、それよりも「どうしてそんなに怒っているの?」という驚きの方が大きかったんです。

壁に押し付けられて、険しい顔をした彼が吐き出した言葉。

――「俺以外の奴の前であんなに楽しそうに笑うなよ。見ててイライラする」

その瞬間、頭が真っ白になりました。

え? イライラする、って……? 私が他の男の人と話しているのを見て、海里くんが怒ってくれたの……?

信じられなくて、でも嬉しくて、胸の奥が熱くなりました。

私が「海里くん、それって……もしかして、嫉妬、してくれてるの……?」って震えながら聞いたとき、彼は顔を逸らしながらも、否定しなかったんです。

私だけじゃなかった。

私だけが不安で、私だけが嫉妬して、苦しんでいたわけじゃなかったんだ。

海里くんも、私と同じように――いや、もしかしたら私以上に、他の男に嫉妬して、独占欲を燃やしてくれていたんだって知ったとき、堰を切ったように涙があふれ出そうになりました。

「よかったぁ……! 私だけ、海里くんに片想いされてるみたいで、ずっと苦しかったのに……! 海里くんも、同じだったんだ……!」

あのとき、私がどれだけ救われたか、言葉では言い表せません。

彼は相変わらず不器用で、真っ赤になりながら「勘違いすんな。お前のことが、どうしようもなく好きなだけだ」なんて、照れ隠し全開のセリフを吐くんです。

ずるいですよね、あんなこと言われたら、好きが爆発しちゃいます。

誰もいない階段の踊り場での、初めてのキス。

彼の体温が伝わってきて、心臓の音がうるさくて、息ができなくなるくらい幸せでした。




あれから、私たちの関係は少しだけ(いいえ、かなり!)変わりました相変わらず学校では「塩対応な彼氏」を演じている海里くんですけど、授業の合間にすれ違うとき、ほんの一瞬だけ柔らかく目を細めてくれたり、誰もいない場所になると途端に独占欲を全開にして甘えてきたりするんです。

あのクールな海里くんが、私の前だけで見せてくれる甘い顔。

それは世界中で私だけが知っている、最高の秘密の宝物です。

「また他の男と喋ってたろ」って、少し不機嫌そうに私の頭をポンと叩く彼の大きな手。

その度に私は、「もう、海里くんってば焼きもち焼きなんだから!」って心の中でクスッと笑いながら、彼の腕にぎゅっとしがみつくんです。

不器用で、すれ違ってばかりだった私たちの恋。

でも、お互いのドロドロした、でも純粋すぎる独占欲に気づけた今、私たちは最強のカップル(……だよね?)だと思っています!

ここまで私たちの不器用な恋物語を見守ってくださり、本当にありがとうございました。

皆様の温かい応援があったからこそ、海里くんも私も、こうして素直に自分の気持ちを伝えることができました。

もしまた、私たちがイチャイチャしたり、たまにヤキモチを焼いて大騒ぎしたりする日常を覗きたくなったら、いつでもこの物語に戻ってきてくださいね。

海里くんと一緒に、満面の笑顔でお待ちしています!

それでは、本当にありがとうございました!

以上、海里の彼女の桜坂澪でした!




★海里 side★


いや、お前は ただの海里の彼女じゃない。

海里(俺)の最愛の人だ。

まあ、こんなこと本人には言えないけどな。

俺たちの秘密だぞ??
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