はじまりは、再会の後から 〜二人のイケメンからプロポーズされて困惑しています〜
その一件の後、千雪にプロポーズした翔也は見事千雪に振られた。しかし、自分でも驚くほどに、翔也は清々しい気持ちになっていた。

どれだけ自分が愛子を求めていたのか、奇しくもそのことに気づけた。自分の正直な気持ちを打ち明けるため、今更受け入れてもらえないと思いつつも、翔也は愛子の元を訪れた。

病院の廊下で翔也を見つけた愛子は、人目もはばからず駆け寄って抱きついた。そして納得がいく答えがほしいと言った。場所を変え、人通りの無い所へ移動すると、愛子が即座に詰め寄った。

「あれから考えたんだけど、父でしょ?父に何か言われたんでしょ?私の幸せとか言っているけど、そんなの嘘。百パーセントお金目当てだよ。父は経営を立て直すために、どうしても私をお見合い相手と結婚させたいだけだから。ね、翔也。本当のこと言って!」

「……だとしても。別れは最終的に僕が決断したことだよ。親父さんのせいじゃない。僕は財力も地位も持っていないから、愛ちゃんを幸せにする自信がなかったんだ。だから愛なんて、お金や安定には勝てないって自分に言い聞かせた。でも、違う。もう欲しいものを諦めたくない。僕、頑張るから。愛ちゃんには僕の側に居てほしい」

翔也は震える声で本心を打ち明けた。

「私もだよ。他の人との結婚なんて有り得ない。二人で父を説得しようよ」

愛子は翔也の腕を掴む。

「私は翔也がいい。私の幸せと言うのなら、それは翔也と一緒に居る事だよ。二人で歩んでいきたいの。父がなんて言ったか知らないけど、私の意思とは違うから」

愛子は必死に訴えた。じっと翔也を見つめる愛子の目は、揺らぎがなかった。

「愛ちゃん、僕は……」

翔也は心を打たれたのか、力無く呟いた。

「親父さんの、病院を守りたいという気持ちを崩せるかな……」

「大丈夫。私たちが本物なら何とかなるよ」

「愛ちゃん」

翔也は愛子の手を握った。

その後、翔也と愛子は父親の説得に取り掛かった。お許しを得るまでに半年の時間を要したが、見事に二人は結婚を勝ち取ったのだった。
< 163 / 172 >

この作品をシェア

pagetop