はじまりは、再会の後から 〜二人のイケメンからプロポーズされて困惑しています〜
それは梨乃には無い発想だった。自分を守るために自分を磨くことはあっても、誰かのために頑張ったことはない。

「私はまだ入社半年のペーペーですけど……。瀬戸さんは、もしかして。私のことも信頼してますか?」

「あったり前じゃん!信頼しまくってるよ!浅田ちゃんは努力の人だからね。こんなに素敵な後輩がアシストしてくれて、私はラッキーだよ。これからもよろしくね」

とくん、と鼓動が大きく跳ねて梨乃の頬が上気した。こんな気持ちは初めてだ。同性から受け入れてもらえるのが、こんなに嬉しいなんて知らなかった。気を抜くと目が潤んでしまいそうだ。

「瀬戸さん」

「はい」

「私も頑張ります」

「大丈夫だよ。今のままでも十分頑張ってくれてるじゃん」

「いえ、色々と頑張ります。一生懸命瀬戸さんを支えます」

とびきりの笑顔で梨乃は笑った。

「浅田ちゃんが居れば百人力だね。嬉しいなぁ。いい仕事しようね」

「はい!公私共にアシストします!何でも言ってください!」

梨乃は自分が誰かの補佐に回るなんて思ってもいなかった。自分の武器を最大限に活かし、自分を守るために生きてきた。しかし、千雪の何気ない言葉で、憑き物が落ちたように気持ちが晴れやかに澄み渡ったのだ。

(瀬戸さんは推しです。でも内緒にしておきますね)

そしてこの後、待ち侘びたコミケの会場で人生最推しの春人と出会うことになる。
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