はじまりは、再会の後から 〜二人のイケメンからプロポーズされて困惑しています〜
過去話 千雪の戸惑い
千雪が中三の時、平穏な日々に終止符が打たれた。それは、夏休み前日の放課後に突然やって来た。
終業式が終わり千雪が教室で帰り支度をしていると、クラスの女子達が少しざわめいた。隣の教室から翔也が来たのだな、と、千雪は名前を呼ばれる前に察知した。
「ちぃ…… 今、時間ある?」
案の定、名前を呼ばれて顔を上げる。千雪を「ちぃ」と呼ぶのは翔也と両親だけだ。
「時間って…… 。どうしたの? 改まっちゃって」
一緒に帰るお誘いだと思っていた千雪は、翔也の緊張した面持ちを見て小首を傾げる。
いつもと違う翔也の態度に千雪は少し違和感を覚えた。未だかつて時間があるかなんて、聞かれたことがなかったからだ。
「あー…… 。ちょっと聞いて欲しいことがあってさ。場所を変えて話したいなぁって」
教室にはまだ生徒が何人か残っていて、その子達を横目でチラッと見てから翔也は言った。他の人には聞かれたくないのだろう。
「じゃあ帰り道に歩きながら聞くよ?」
改まってなんだろう?と不思議に思いながら千雪が鞄を持って立ち上がった。
「えーと…… 。そうじゃなくて。校内でいいんだけど…… 出来れば二人になれる所で落ち着いて話をしたいんだ」
翔也は千雪の耳元で囁く。
不意に翔也に近づかれ、千雪はぞくりと驚いた。
「どうしたの? 何かあった?」
ますます不可解だ。余程の話なのだろうか?と千雪は心配になった。
「……ごめん。ちょっと僕に時間くれないかな。そこできちんと話すから」
「うん、分かった。どこに行く? 図書室? それとも裏門の辺りにする?」
「外は暑いから図書室へ行こうか。ごめんねちぃ。もしかして帰りたかった?」
「ううん大丈夫だよ。じゃあ行こう」
教室がある本校舎の渡り廊下の先に図書室はある。二人並んでここを歩くのは初めてではない。
千雪はまじまじと翔也の横顔を見つめた。
「どうかした?」
「何でもないよ、綺麗な横顔だなぁって思っただけ」
「なんだよそれ」
翔也がはにかんだ笑いを浮かべた。
終業式が終わり千雪が教室で帰り支度をしていると、クラスの女子達が少しざわめいた。隣の教室から翔也が来たのだな、と、千雪は名前を呼ばれる前に察知した。
「ちぃ…… 今、時間ある?」
案の定、名前を呼ばれて顔を上げる。千雪を「ちぃ」と呼ぶのは翔也と両親だけだ。
「時間って…… 。どうしたの? 改まっちゃって」
一緒に帰るお誘いだと思っていた千雪は、翔也の緊張した面持ちを見て小首を傾げる。
いつもと違う翔也の態度に千雪は少し違和感を覚えた。未だかつて時間があるかなんて、聞かれたことがなかったからだ。
「あー…… 。ちょっと聞いて欲しいことがあってさ。場所を変えて話したいなぁって」
教室にはまだ生徒が何人か残っていて、その子達を横目でチラッと見てから翔也は言った。他の人には聞かれたくないのだろう。
「じゃあ帰り道に歩きながら聞くよ?」
改まってなんだろう?と不思議に思いながら千雪が鞄を持って立ち上がった。
「えーと…… 。そうじゃなくて。校内でいいんだけど…… 出来れば二人になれる所で落ち着いて話をしたいんだ」
翔也は千雪の耳元で囁く。
不意に翔也に近づかれ、千雪はぞくりと驚いた。
「どうしたの? 何かあった?」
ますます不可解だ。余程の話なのだろうか?と千雪は心配になった。
「……ごめん。ちょっと僕に時間くれないかな。そこできちんと話すから」
「うん、分かった。どこに行く? 図書室? それとも裏門の辺りにする?」
「外は暑いから図書室へ行こうか。ごめんねちぃ。もしかして帰りたかった?」
「ううん大丈夫だよ。じゃあ行こう」
教室がある本校舎の渡り廊下の先に図書室はある。二人並んでここを歩くのは初めてではない。
千雪はまじまじと翔也の横顔を見つめた。
「どうかした?」
「何でもないよ、綺麗な横顔だなぁって思っただけ」
「なんだよそれ」
翔也がはにかんだ笑いを浮かべた。