はじまりは、再会の後から 〜二人のイケメンからプロポーズされて困惑しています〜
翔也が醸し出す深刻なムードに、千雪はいたたまれずにいた。何か喋っていないと翔也の雰囲気に飲まれてしまう。

「あ……明日から中学最後の夏休みだね。早かったなぁ三年間。夏休みと言えばさ、毎年恒例のBBQ。今年もやるよね?楽しみだなぁ」

「そうだね……だけど……」

「だけど?」

「……」

翔也の無言が怖い。これから何を告げられるのだろう。

「着いたよ。入って」

そう言うと翔也は図書室の引き戸を開けて千雪の背中に手を回した。その瞬間千雪はぞくりとした。

こんなこと今までにだって何度もあった。手を繋いだり、抱き合ったり、お風呂だって一緒に入ったりもした。なのに今日の翔也は違う。明らかにおかしい。

図書室は入ってすぐが読書閲覧スペースになっており、机と椅子が島を作って配置されている。その奥には背の高い本棚が整然と並んでいるのだが、仄暗く感じるのは窓が少ないからであろうか。それとも生徒が一人も居ないからであろうか。

「人目につきたくないんだ。本棚の方へ行ってもいい?」

翔也は伺うように千雪の顔を覗き込んだが、背中に回した手を離さずに奥まで誘導された。

「ねぇ、翔也くん。どうしたの? 今日はなんだか違う人みたいだよ」

「ごめんね。もしかして僕が怖い? 実は僕も少し緊張しているんだ」

「え? 緊張? 何に?」

入り口からは死角になっている本棚の一番奥まで来ると、翔也はいきなり千雪を抱きしめた。

「え? え? 何? 翔也くん? 突然どうしたの?」
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