はじまりは、再会の後から 〜二人のイケメンからプロポーズされて困惑しています〜
翔也の肩に千雪の顔が押し付けられる体制になり、千雪は狼狽えた。翔也からこんな風に力強く抱きしめられたのは初めてだ。華奢だったはずの翔也の腕は、いつの間にこんなに逞しくなっていたのだろう。何となく翔也は幼い頃から変わらないと思い込んでいた。いや。思いたかった。

しかし、変化していないのは千雪だけであって、翔也の心も体も真っ当な男子のそれに成長している。出会ってから八年も経っているのだ。変わらないはずがないのに。

「ちぃとの関係を壊したくなかったから言わなかったんだけど、告白するよ。ちぃが好きだった。僕はずっと、こんな風にちぃを抱きしめたいと思ってた」

「え…… 嘘……」

「嘘じゃない。正直に言えば、僕は初めて会った時からちぃが好きだった。僕にとってちぃは、ずっと恋愛対象だったんだよ。」

千雪が翔也と初めて会ったのは、あの家に引っ越して来た七歳の時だ。

恋愛対象と言われるとちょっと自信がないが、千雪だって翔也の事が好きだ。ただ翔也があまりに雲の上の存在で、そう言う気持ちを抱くのは烏滸(おこ)がましいと思っていただけだ。

「大好きだったよ、ちぃ」

静かに呟いた翔也の言葉に千雪は、嬉しいやら恥ずかしいやら。

「私だってだいす……」

千雪の言葉を遮るように、翔也は千雪のおでこに、触れるだけの軽いキスをした。瞬きと同じくらいの速さだった。おでことはいえ千雪の顔がぼっと赤くなる。

千雪は嬉しいはずなのに、やはり疑ってしまう。恋愛という言葉に、ほんの少し感じる違和感が拭えない。

(私は翔也くんを想う気持ちと、翔也くんが私を想う気持ちは同じじゃない。本当に恋愛対象として見てくれてたってこと?)

「僕はずっとちぃに好かれたくて…… 側に居たくて…… 嫌われないように…… 振り向いてもらえるように…… 必死だった。でも……」

「……でも?」
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