はじまりは、再会の後から 〜二人のイケメンからプロポーズされて困惑しています〜
梨乃の答えは明快だった。
「そんなの!気になるなら、さらっと聞いちゃえばいいじゃないですか。今は普通に話せてるんですよね?だったら笑い話で終わるかもしれませんよ?覚えてないなら、それはそれでよくないですか?」
「そうなんだけど……」
二十五年育んできた優柔不断は、そう易々と顔を引っ込めてはくれない。
「何をそんなに躊躇っているんですか?自分の中に答えが無いことを悩んでも、永遠に解決しませんよ?」
きょとんとした顔で梨乃は質問した。聞けばいいだけの話なのになぁと、聞けない千雪を不思議に思っているようだ。
「翔也くん優しいからさ。私を気遣ってあの言葉の理由を言えないんじゃないかなって……」
梨乃は一瞬だけ、う〜んと言って考えるふりをしてくれたが、即答した。
「そもそも、他人の心なんて分かるわけないじゃないですか。例えば、もらった返事が建前か本心かは正直分からないですよね?そりゃ空気は感じますよ。今のは嘘だな、とか。でも結局、聞いた方は言われた答えを信じるしかないんです。悩んだところで、どうしてみようもない訳ですよ。簡単な話だと、私は思いますけどね」
「た……確かに」
千雪は霧が晴れたような、すっきりした気持ちになった。なんでもっと早く梨乃に相談しなかったのかと悔やまれる。
そうと決まれば善は急げだ。会社帰りにティエドゥールに行ってみよう。千雪は肩の荷が下りた気分だった。