はじまりは、再会の後から 〜二人のイケメンからプロポーズされて困惑しています〜

店内はがらんとして静かだった。仕事が一段落ついたのか、カウンター席にウェイター姿の翔也が座っていた。そして、その隣にショートヘアの華奢な女性が座っている。翔也は隣に座るその女性に懸命に話かけていた。が、表情は暗かった。

(これ入っていいのかな?いや、私はお客だよ。良いに決まってる)

そう意気込んではみたものの、千雪は遠慮がちに静かに中へ足を踏み入れた。

気配に気づいた翔也と女性が、同時に千雪へと視線を向けた。入って来たのが千雪だと認識すると翔也は驚いた表情で目を見張る。

「ちぃ……」

思わず千雪の名を呟いた翔也は、咄嗟に隣に座る女性に視線を向けた。弁解したいような、はたまた見つかったとでも言いたいような、とても微妙な顔をしていた。

「翔也くん、まだ大丈夫?」

千雪は伺うように翔也に問いかけた。

「あ……もちろん。どうぞ入って」

立ち上がった翔也が、千雪を奥のテーブル席へ誘導しようとした。

「翔也」

隣に座る女性が翔也を見上げて声をかけると、翔也は一瞬躊躇した。

「ちぃ。ちょっと待って、紹介するよ」

歩き出した千雪を呼び止めて翔也は隣の女性に視線を落とした。
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