はじまりは、再会の後から 〜二人のイケメンからプロポーズされて困惑しています〜
翔也が店内に戻って来ると、千雪は翔也の表情が暗いことに一目で気がついた。やはり自分のせいだろうか。

「もしかして、私が来たせいで小林さんを帰しちゃったの?なんか……タイミング悪くてごめん」

小声で千雪は尋ねた。

「違うよ。長野まで帰らなくちゃいけないからさ。もういい時間だし、話もキリが良かったからね。てか、座っててよかったのに。ちぃは相変わらず律儀だなぁ」

その言葉を聞いて千雪はほっと胸を撫で下ろした。自分が来たせいで翔也は愛子を帰したのではないかと気が気でなかったのだ。

翔也は今まで自分が座っていた椅子の背もたれに手を置いた。

「ちぃ、ここでいい?ほら座って。表にクローズのプレートをかけて来たから、ゆっくり話せるよ」

千雪はカウンターの椅子に腰掛けてから改めて翔也を眺めた。柔らかそうな栗色の髪に、少し目尻の下がった優しい目元。すっかり頼もしく大きくなった身体だが、中身は相変わらず柔和だ。
< 46 / 172 >

この作品をシェア

pagetop