はじまりは、再会の後から 〜二人のイケメンからプロポーズされて困惑しています〜
「何度も話に出してるから、八奈見の名前は分かるよね?その八奈見が実はね……」

千雪は言葉を濁しつつ、八奈見と偽装恋人契約をしたことを翔也に語った。

「ふーん。偽装……ねぇ。それ八奈見くんはさ、偽装を装った本物にしたいんじゃない?」

「どういうこと?」

「だから、ちぃを上手く丸め込んで本当の恋人になろうって魂胆だよ」

「まさかぁ!」

千雪は恥ずかしそうに顔を赤らめて反論しようとした。が、翔也がぶつぶつと小声で独り言を言っている。

「これは不味いなぁ。ぼやぼやしてたら八奈見くんに先を越されちゃうじゃん。ちぃが鈍感で助かった……」

翔也の声が小さすぎて千雪は聞き取れない。

「え?なに?今、鈍感って言った?さては私の悪口だな?」

「まさか、悪口なんて言わないよ。ねぇ、ちぃ。次の日曜日空いてる?ティエドゥール貸し切るからさ、ゆっくりお茶でもしない?話したい事があるんだ」

「え?貸し切り?そんな事できるの?翔也くん凄いね」

「僕の伯父だから、ここのオーナー」

「え?そうなの?」

千雪は目を見張って驚いた。やはり、知らない事だらけだ。
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