藤堂彬の誤算だらけの結婚生活
言い切ってはみたものの、それは藍を他の誰にも渡したくないという気持ちが言われせただけ。まったく答えも自信もない。
そもそも、その土台にも立っていない。
「それにしても結婚ってここまで人を変えるんだなあ。摩訶不思議。いいなぁ、お前の未来は薔薇色じゃん」
三橋の話を聞き流しながら、彬はため息をつく。
——薔薇色なものか。
そう、今悩んでいるのはそこなのだ。
今後どうすればいいかわからない。
今すぐに気持ちを知られてはいけない、というのははっきりとしてる。彼女の方は彬に対して恋愛感情はまったくない。それどころか恋愛自体したくないと思っている。自由を満喫したいから好きにはならないでほしいとはっきり言っていた。
彬の気持ちを知ったら、迷惑に思うどころか、嫌悪されてしまう危険性もある。
彬としても、余計なことは考えずに、手術前の自由を満喫してほしかった。そのためには、とにかく自分の気持ちは悟られないようにしなくてはならない。
なんでも完璧にこなしていた自分にはできるはずだが、それだけではいずれ離婚することになる。
それが彬は嫌なのだ。
彼女が自由を満喫して手術を受けた暁には気持ちを伝え、その後も彼女と一緒にいたい。
そのためにできることはなんだろう?
気持ちを自覚してからずっと考えているのだが、いくら考えてもわからない。
こればかりは今までの知識はまったく役に立たないし、有効な論文もない……。
などと考えている彬の視線の先で、相変わらず三橋はベラベラと喋り続けている。
「なあ、藤堂? 奥さんを好きになった決め手は?」
そこではたと閃いた。
この男、三橋に聞いてみればいいのでは?
三橋は、なにもかもにおいて自分の方が上だから、見習うべきところなどないと思っていたが、よくよく考えてみれば恋愛経験はたしか豊富。興味もないのにペラペラと話すから知っている。
そう思うと、なにやら相手が今までと違って見えるから不思議だった。
「なあ、三橋。いい旦那って、どんな男のことをいうんだ?」
質問に質問で返すと、三橋がフリーズする。そこへ彬はさらに問いかけた。
「どうすれば、相手にも俺と結婚してよかったと思ってもらえるだろうか?」
三橋の目が点になり、口からぽろりとタバコが落ちた。
「は? え? ほえ⁉︎」
地面の電子タバコを拾いながら、珍しく動揺している。
質問がわかりにくかったのだろうかと思い、より詳細に話をする。
「お前もさっき言った通り俺たちは恋愛結婚ではない。だから未来が薔薇色とは程遠い状況だ。俺の気持ちは決まったが、向こうはそうではない。同じ気持ちになってもらうにはどうしたらいいかと考えてるんだが、まったくわからない。お前なら知ってるんじゃないか。知ってるならおしえてくれ」
「はっ⁉︎ いや……まあ、え? ま、まじで⁉︎」
丁寧に頼んだつもりだが、彼はさらに動揺する。さっきからなにを騒いでるんだと嫌な気持ちになるが堪えた。
相手に教えを請うときは、謙虚な姿勢であるべきだ。それは研究者として彬が大切にしていることだった。
「なにお前……その感じ……。素直になると、お前ってそんなに可愛いの? キュンときてしまうやろ……!」
そもそも、その土台にも立っていない。
「それにしても結婚ってここまで人を変えるんだなあ。摩訶不思議。いいなぁ、お前の未来は薔薇色じゃん」
三橋の話を聞き流しながら、彬はため息をつく。
——薔薇色なものか。
そう、今悩んでいるのはそこなのだ。
今後どうすればいいかわからない。
今すぐに気持ちを知られてはいけない、というのははっきりとしてる。彼女の方は彬に対して恋愛感情はまったくない。それどころか恋愛自体したくないと思っている。自由を満喫したいから好きにはならないでほしいとはっきり言っていた。
彬の気持ちを知ったら、迷惑に思うどころか、嫌悪されてしまう危険性もある。
彬としても、余計なことは考えずに、手術前の自由を満喫してほしかった。そのためには、とにかく自分の気持ちは悟られないようにしなくてはならない。
なんでも完璧にこなしていた自分にはできるはずだが、それだけではいずれ離婚することになる。
それが彬は嫌なのだ。
彼女が自由を満喫して手術を受けた暁には気持ちを伝え、その後も彼女と一緒にいたい。
そのためにできることはなんだろう?
気持ちを自覚してからずっと考えているのだが、いくら考えてもわからない。
こればかりは今までの知識はまったく役に立たないし、有効な論文もない……。
などと考えている彬の視線の先で、相変わらず三橋はベラベラと喋り続けている。
「なあ、藤堂? 奥さんを好きになった決め手は?」
そこではたと閃いた。
この男、三橋に聞いてみればいいのでは?
三橋は、なにもかもにおいて自分の方が上だから、見習うべきところなどないと思っていたが、よくよく考えてみれば恋愛経験はたしか豊富。興味もないのにペラペラと話すから知っている。
そう思うと、なにやら相手が今までと違って見えるから不思議だった。
「なあ、三橋。いい旦那って、どんな男のことをいうんだ?」
質問に質問で返すと、三橋がフリーズする。そこへ彬はさらに問いかけた。
「どうすれば、相手にも俺と結婚してよかったと思ってもらえるだろうか?」
三橋の目が点になり、口からぽろりとタバコが落ちた。
「は? え? ほえ⁉︎」
地面の電子タバコを拾いながら、珍しく動揺している。
質問がわかりにくかったのだろうかと思い、より詳細に話をする。
「お前もさっき言った通り俺たちは恋愛結婚ではない。だから未来が薔薇色とは程遠い状況だ。俺の気持ちは決まったが、向こうはそうではない。同じ気持ちになってもらうにはどうしたらいいかと考えてるんだが、まったくわからない。お前なら知ってるんじゃないか。知ってるならおしえてくれ」
「はっ⁉︎ いや……まあ、え? ま、まじで⁉︎」
丁寧に頼んだつもりだが、彼はさらに動揺する。さっきからなにを騒いでるんだと嫌な気持ちになるが堪えた。
相手に教えを請うときは、謙虚な姿勢であるべきだ。それは研究者として彬が大切にしていることだった。
「なにお前……その感じ……。素直になると、お前ってそんなに可愛いの? キュンときてしまうやろ……!」