藤堂彬の誤算だらけの結婚生活
父の裏切り
彬の前で泣いてしまうという失態をおかした次の週、藍は定期健診で主治医の元を訪れた。そして伸ばし伸ばしになっていた手術についての詳しい説明を受けた。
内容は、概ね彬が言っていたことと同じ。そこまで心配するほどではないと言われてほっとするが、それでも以前の自分だったらポジティブに受け止められていなかっただろう。
不安な気持ちを彼の前で吐き出して受け止めてもらったこと、形だけの妻以上には大切に思われていることを確認した。信頼できる彼の口から、手術の見通しについて聞いたのも大きく影響したのかもしれない。
詳しい話を聞くのは避けていたけれどきちんとスケジュールを組むと希望を出した。
本来は執刀医のスケジュールを抑えなくてはならないしすぐにとはいかないから、早めに希望を出しておくべきものなのだ。わがままで迷惑をかけたことを詫びつつ予約をとった。
そしてそれを報告するために実家に寄った。
知らせを聞き上機嫌でスケジュールをキャンセルして家で待っていた父と、久しぶりに新田の手料理を囲む。
メニューは煮物や揚げ浸し、酢の物など藍にはできないものばかりで、帰りにレシピを教えてもらおうと思いながら舌鼓を打つ。彬は和食が好きなのだ。
「昼間に先生からも直接連絡をもらったよ。やっと藍がその気になったって喜んでいらした」
「先生にはもちゃんと謝った。お父さんも心配かけてごめんなさい」
すると父はお猪口を持つ手を止めて涙ぐむ。それだけ心配をかけていたのだと藍はこれまでの自分の態度を反省した。
「娘の心配をするのがお父さんの仕事なんだからそれはいいよ」
とにかく口うるさい父だけれどそれは大切にされていたからゆえなのだ。ありがたいことなのだと改めて思う。
「それにしてもちょっと無理やりだったが見合いを勧めてよかったなあ。手術に前向きになったのは結婚したからだろう?」
「え⁉︎ う、うん……まあ、む、無関係ではない、かな」
おそらく父が思ってるような理由ではないだろうが彬がきっかけだということは間違いない。
あの日、手術についての不安を受け止めてもらった後、手術後の未来に希望を持つことができた。その結果ちゃんと向き合いたい思ったのだ。
もっと彼と一緒にいたい。
彼に気持ちを伝えたい。
内容は、概ね彬が言っていたことと同じ。そこまで心配するほどではないと言われてほっとするが、それでも以前の自分だったらポジティブに受け止められていなかっただろう。
不安な気持ちを彼の前で吐き出して受け止めてもらったこと、形だけの妻以上には大切に思われていることを確認した。信頼できる彼の口から、手術の見通しについて聞いたのも大きく影響したのかもしれない。
詳しい話を聞くのは避けていたけれどきちんとスケジュールを組むと希望を出した。
本来は執刀医のスケジュールを抑えなくてはならないしすぐにとはいかないから、早めに希望を出しておくべきものなのだ。わがままで迷惑をかけたことを詫びつつ予約をとった。
そしてそれを報告するために実家に寄った。
知らせを聞き上機嫌でスケジュールをキャンセルして家で待っていた父と、久しぶりに新田の手料理を囲む。
メニューは煮物や揚げ浸し、酢の物など藍にはできないものばかりで、帰りにレシピを教えてもらおうと思いながら舌鼓を打つ。彬は和食が好きなのだ。
「昼間に先生からも直接連絡をもらったよ。やっと藍がその気になったって喜んでいらした」
「先生にはもちゃんと謝った。お父さんも心配かけてごめんなさい」
すると父はお猪口を持つ手を止めて涙ぐむ。それだけ心配をかけていたのだと藍はこれまでの自分の態度を反省した。
「娘の心配をするのがお父さんの仕事なんだからそれはいいよ」
とにかく口うるさい父だけれどそれは大切にされていたからゆえなのだ。ありがたいことなのだと改めて思う。
「それにしてもちょっと無理やりだったが見合いを勧めてよかったなあ。手術に前向きになったのは結婚したからだろう?」
「え⁉︎ う、うん……まあ、む、無関係ではない、かな」
おそらく父が思ってるような理由ではないだろうが彬がきっかけだということは間違いない。
あの日、手術についての不安を受け止めてもらった後、手術後の未来に希望を持つことができた。その結果ちゃんと向き合いたい思ったのだ。
もっと彼と一緒にいたい。
彼に気持ちを伝えたい。