藤堂彬の誤算だらけの結婚生活
だからそこに原因があるとは思えない。
けれどそこでふと、あの時の自分の行動が浮かびあがる。もしかして……と血の気が引く。
「……めてしまった」
「ん? なんて?」
「あの時……いや詳しくは言えないんだが、彼女が落ち込んでいたから慰めようと思って、その、こう……」
目の前の空気を藍に見立てて、抱きしめる仕草で三橋に伝える。
下心はなかった。
大きな不安を抱えてひとりで闘ってきた彼女を支えたいという純粋な気持ちからの動作で、その後彼女もシャツにしがみついていたから、問題ないと思っていた。
だがだからと言ってやましい気持ちは微塵もないかったかと言われると微妙だった。
実は気持ちを自覚したくらいから、藍に触れたいという欲求が確かに自分の中にあったからだ。
はじめて抱いた藍の身体は清廉な香りがした。細い肩と、艶やかな髪の感触に、彼女が自分にとって唯一無二の愛おしい存在なのだと確信した。
もしかしてその気持ちがバレてしまったのだろうか?
そして嫌悪感を抱いて実家に帰ってしまった……?
両腕を宙に浮かせたまま真っ青になる彬に、三橋が「おいおいおい」と呆れた声を出した。
「新婚さんが抱き合ったくらいでそんなことにはならんだろ」
「いや、だけど前にも言っただろう。彼女は俺を好きだというわけじゃないんだ」
「いや、だけど……そうだとしてもそれは今更すぎないか? まさか、抱き合うのがはじめてってわけじゃないんだし」
そう言って三橋は、はははと笑い出す。
けれどそこでふと、あの時の自分の行動が浮かびあがる。もしかして……と血の気が引く。
「……めてしまった」
「ん? なんて?」
「あの時……いや詳しくは言えないんだが、彼女が落ち込んでいたから慰めようと思って、その、こう……」
目の前の空気を藍に見立てて、抱きしめる仕草で三橋に伝える。
下心はなかった。
大きな不安を抱えてひとりで闘ってきた彼女を支えたいという純粋な気持ちからの動作で、その後彼女もシャツにしがみついていたから、問題ないと思っていた。
だがだからと言ってやましい気持ちは微塵もないかったかと言われると微妙だった。
実は気持ちを自覚したくらいから、藍に触れたいという欲求が確かに自分の中にあったからだ。
はじめて抱いた藍の身体は清廉な香りがした。細い肩と、艶やかな髪の感触に、彼女が自分にとって唯一無二の愛おしい存在なのだと確信した。
もしかしてその気持ちがバレてしまったのだろうか?
そして嫌悪感を抱いて実家に帰ってしまった……?
両腕を宙に浮かせたまま真っ青になる彬に、三橋が「おいおいおい」と呆れた声を出した。
「新婚さんが抱き合ったくらいでそんなことにはならんだろ」
「いや、だけど前にも言っただろう。彼女は俺を好きだというわけじゃないんだ」
「いや、だけど……そうだとしてもそれは今更すぎないか? まさか、抱き合うのがはじめてってわけじゃないんだし」
そう言って三橋は、はははと笑い出す。