藤堂彬の誤算だらけの結婚生活
かといって、聞かなかったふりをして何食わぬ顔で夫婦ごっこを続けるなんてもってのほか。そんな形で彼を裏切るのは嫌だった。
そんな状態で会えるわけがない。
一日目は、もう寝たといって帰ってもらった。
けれどその後、言い訳は尽きてしまい、ただ会えないとだけ告げて帰ってもらっているのである。
夫婦喧嘩でもしたのだろうとはじめの頃は協力的だった新田も、さすがにきちんと話し合えと言ってくる。
当然彬の方も様子がおかしい事は気がついていて、【なにがあった? 話をしよう】というメッセージが毎日届く……。
自室に戻り、藍は電気を消したまま、カーテンの隙間から外を見つめる。街灯の下に、彬の姿があった。
スマホには彼からのメッセージが届いている。
【会って話をさせてくれ。しばらくは外にいる】
毎日彼は面会を断られてもすぐには帰らずに、時間が許す限りそこで待っている。
その姿に、藍の胸がキリキリと痛んだ。今すぐに出ていって真実を告げ彼を解放するべきだ。
けれどその時が、自分と彼の最後の時間になってしまうのだと思うと、どうしても踏ん切りがつかない。
もう十分優しくしてもらったのに、ずるくて欲張りな自分にうんざりだった。
しばらくすると彼は力なく首を振って帰っていく。その背中がどことなく悲しげだった。カーテンを閉じてため息をつくとスマホが鳴る。一瞬彬かと身構えるが、そうではなく陽菜だった。
夕方、この状況に耐えきれなくなり、相談メールを送ったのだ。
「はるちゃん、いっつもごめんね」
《いいよお。私は藍の保護者のつもりなんだから、相談してくれる方が安心だ。で? 今日も旦那さんきたの?》
「うん、さっき帰った」
《かー! なんか健気だね? 答えてあげなよ》
「いや、健気っていうのはなんか違う気がする……彬さんは私に会いたくて来てるわけじゃないだろうし」
《じゃあ、なんで来るの?》
それが藍にはわからなくて困っている。
はじめ藍は、しばらく実家にいるとメッセージを送れば、すんなり了承されるものと思っていた。彼にしてみれば、藍がいないなら、健康管理もしなくていいし毎日研究室に泊まれる。不都合がないどころか都合がいいはずだ。
そんな状態で会えるわけがない。
一日目は、もう寝たといって帰ってもらった。
けれどその後、言い訳は尽きてしまい、ただ会えないとだけ告げて帰ってもらっているのである。
夫婦喧嘩でもしたのだろうとはじめの頃は協力的だった新田も、さすがにきちんと話し合えと言ってくる。
当然彬の方も様子がおかしい事は気がついていて、【なにがあった? 話をしよう】というメッセージが毎日届く……。
自室に戻り、藍は電気を消したまま、カーテンの隙間から外を見つめる。街灯の下に、彬の姿があった。
スマホには彼からのメッセージが届いている。
【会って話をさせてくれ。しばらくは外にいる】
毎日彼は面会を断られてもすぐには帰らずに、時間が許す限りそこで待っている。
その姿に、藍の胸がキリキリと痛んだ。今すぐに出ていって真実を告げ彼を解放するべきだ。
けれどその時が、自分と彼の最後の時間になってしまうのだと思うと、どうしても踏ん切りがつかない。
もう十分優しくしてもらったのに、ずるくて欲張りな自分にうんざりだった。
しばらくすると彼は力なく首を振って帰っていく。その背中がどことなく悲しげだった。カーテンを閉じてため息をつくとスマホが鳴る。一瞬彬かと身構えるが、そうではなく陽菜だった。
夕方、この状況に耐えきれなくなり、相談メールを送ったのだ。
「はるちゃん、いっつもごめんね」
《いいよお。私は藍の保護者のつもりなんだから、相談してくれる方が安心だ。で? 今日も旦那さんきたの?》
「うん、さっき帰った」
《かー! なんか健気だね? 答えてあげなよ》
「いや、健気っていうのはなんか違う気がする……彬さんは私に会いたくて来てるわけじゃないだろうし」
《じゃあ、なんで来るの?》
それが藍にはわからなくて困っている。
はじめ藍は、しばらく実家にいるとメッセージを送れば、すんなり了承されるものと思っていた。彼にしてみれば、藍がいないなら、健康管理もしなくていいし毎日研究室に泊まれる。不都合がないどころか都合がいいはずだ。