藤堂彬の誤算だらけの結婚生活
妻を病気で亡くし、娘まで難病なのだからそうなるのも仕方がないのかもしれないが。
「だいたい相手の人も困っちゃうでしょう。身体が弱い妻なんて……」
お見合いなんて条件のすり合わせがメインだ。
もともと恋愛関係にあるならともかく、これから会う相手としては微妙だろう。
「いや、その点は心配しなくていい。病気のことはちゃんと話をしたからな。相手はドクターだから、その点は心配ない」
逆じゃないか、と藍は思う。
患者として医療関係者は身近な存在でとりわけドクターとは、家族よりも顔を合わせる機会が多かったくらいだ。
彼らはこちらが心配になるくらいいつも病院にいる。妻の起きている顔はもう何週間も見ていないとか、子どもに顔を忘れられたとか、そんな話をよく聞いた。
たとえ夫がドクターでも、サポートなど期待できず、逆に妻がサポートしなくては夫婦として成り立たないのでは?
「とにかく会うだけ会ってみてくれないか? 彼はとってもいい青年でね。前々から藍にどうかなと考えていたんだよ。俺だっていつまでも藍と一緒にいられるわけじゃないし、誰かが藍のそばにいてくれると安心なんだよう……」
そう言ってしょんぼりを肩を落とされては、それ以上強く言えなくなる。
身体の弱い藍を父が誰よりも心配しているのは知っている。過保護すぎるほど過保護だが、それはすべて愛情からくるものなのだ。
「……どういう人なの?」
問いかけると、途端にぱあと笑顔になる。
「白川病院の病理学研究室のドクターだ。確か年は三十二。非常に優秀かつ将来有望だとお父さんは思っている。おすすめ物件だ!」
さっきとは打って変わって元気になる。
もしかしたらハメられたのかもしれないと思うが、父の口は止まらない。
「うちの会社が資金提供している新薬開発のプロジェクトに携わっている人物だ。いくつかのチームに分かれていて彼はその中のひとつをまとめている。成果は他のチームより頭ひとつ飛び出てるよ。彼の力だね」
意気揚々と語る父の話に、藍はぎょっとする。
ドクターというから仕事関係だというのは予想していたが、そうは言ってもその力関係はまずいのでは?
「お父さん……スポンサーの立場を利用して、無理言ったんでしょ」
追求すると、気まずそうに目を逸らす。
やっぱり、と確信した。
「だいたい相手の人も困っちゃうでしょう。身体が弱い妻なんて……」
お見合いなんて条件のすり合わせがメインだ。
もともと恋愛関係にあるならともかく、これから会う相手としては微妙だろう。
「いや、その点は心配しなくていい。病気のことはちゃんと話をしたからな。相手はドクターだから、その点は心配ない」
逆じゃないか、と藍は思う。
患者として医療関係者は身近な存在でとりわけドクターとは、家族よりも顔を合わせる機会が多かったくらいだ。
彼らはこちらが心配になるくらいいつも病院にいる。妻の起きている顔はもう何週間も見ていないとか、子どもに顔を忘れられたとか、そんな話をよく聞いた。
たとえ夫がドクターでも、サポートなど期待できず、逆に妻がサポートしなくては夫婦として成り立たないのでは?
「とにかく会うだけ会ってみてくれないか? 彼はとってもいい青年でね。前々から藍にどうかなと考えていたんだよ。俺だっていつまでも藍と一緒にいられるわけじゃないし、誰かが藍のそばにいてくれると安心なんだよう……」
そう言ってしょんぼりを肩を落とされては、それ以上強く言えなくなる。
身体の弱い藍を父が誰よりも心配しているのは知っている。過保護すぎるほど過保護だが、それはすべて愛情からくるものなのだ。
「……どういう人なの?」
問いかけると、途端にぱあと笑顔になる。
「白川病院の病理学研究室のドクターだ。確か年は三十二。非常に優秀かつ将来有望だとお父さんは思っている。おすすめ物件だ!」
さっきとは打って変わって元気になる。
もしかしたらハメられたのかもしれないと思うが、父の口は止まらない。
「うちの会社が資金提供している新薬開発のプロジェクトに携わっている人物だ。いくつかのチームに分かれていて彼はその中のひとつをまとめている。成果は他のチームより頭ひとつ飛び出てるよ。彼の力だね」
意気揚々と語る父の話に、藍はぎょっとする。
ドクターというから仕事関係だというのは予想していたが、そうは言ってもその力関係はまずいのでは?
「お父さん……スポンサーの立場を利用して、無理言ったんでしょ」
追求すると、気まずそうに目を逸らす。
やっぱり、と確信した。