藤堂彬の誤算だらけの結婚生活
どこか自信なさげにじっと見られて藍の胸がきゅんと跳ねる。
ぶんぶんと首を横に振った。
幻滅どころか、いつもと違う彼の姿にはすでに何度もドキドキとさせられている。
「私も、超初心者なので、ちょうどいいと思います」
彼は目を細めてふっと笑い、藍を包む腕に力を込めて額と額をくっつけた。
至近距離から見つめる眼差しに熱が帯び、藍はこくりと喉を鳴らした。
「あの彼に言った言葉だが」
鼻をくすぐる少し甘い香りはピーラーの使い方を教えてもらった時に感じたものと同じ。それに気がつき、藍の頬が熱くなった。
ドキドキしすぎてなにがなにやらわからない。
「ひとつ屋根の下にいても、なにも起こらなかったという」
「ああああ、あれですね。そりゃ、私がお子さますぎるし、そんなことが起こらないのは当たり前で……」
「我慢していた、と言ったのは聞いていたか?」
頬に大きな手が添えられる。もう頭の中が沸騰しそうだ。
ただ彼を見つめるだけしかできない自分は、きっと金魚みたいに赤くなっているだろう。
彬がふっと笑った。
「落ちつけ。すぐにどうこうするつもりない。ただ俺はそういう気持ちだということを言いたかっただけだ。そうでなくても君はやや危機感にかけるから」
「へ? どのあたりがでしょうか?」
「そうだな……風呂上がりにパジャマでアイスを食べてたがそのパジャマのボタンが第二ボタンまで外れていて」
「以後……! 気をつけます」
「頼むよ。襲いかからないようにするのが大変なんだ」
これからの結婚生活、いったいなにがどうなってしまうのやらと、いきなり不安になっていると、額を優しくコツンとして、彬が、くくくと笑った。
「そう気を張らなくても大丈夫。なにもかも藍のペースで進めるから」
優しい言葉にホッとする。
まさかこの恋が叶うなんて微塵も思っていなかったから、この先のことなんて今はまったく考えられない。けれど唇に彼の親指が触れてドキンとする。
「キスも、ダメか?」
問いかけられて頭の中でピンクの風船がボンと弾ける。
全然私のペースじゃない……!
もちろん嫌なわけではないけれど、とにかく声が出なかった。
彼がふっと笑う。
「悪い。俺、言ってることがめちゃくちゃだな。藍への気持ちは、全然コントロールできないんだ」
もはや完全にキャパオーバー。
「嫌か?」と、尋ねられてもブンブンとかぶりを振ることしかできなかった。
すると彼は優しく笑い、そっと唇を重ねた。
柔らかな感触に頭の中が幸せ色一色に染まり、そのままポーッとなってしまう。
微動だにできないでいるとくっくと笑った。
「俺も不器用なんだが、藍も相当だな」
「し、仕方ないじゃないですか。だって、私、恋はしないって決めてたし……」
口を尖られてそう言うと頭をくしゃくしゃと撫でられた。
「よかったと思ってるんだよ。お互いにもうほかの人間と恋愛はしないんだし、ふたり一緒に、ゆっくり上達していこう」
確かに彼は恋には慣れていないようだが、不器用だとはいえない気がする。
だって、こんなにもドキドキさせられる。これはいったいどういうカラクリ?
彼の言葉に頷きつつ、藍は内心で首を傾げていた。
ぶんぶんと首を横に振った。
幻滅どころか、いつもと違う彼の姿にはすでに何度もドキドキとさせられている。
「私も、超初心者なので、ちょうどいいと思います」
彼は目を細めてふっと笑い、藍を包む腕に力を込めて額と額をくっつけた。
至近距離から見つめる眼差しに熱が帯び、藍はこくりと喉を鳴らした。
「あの彼に言った言葉だが」
鼻をくすぐる少し甘い香りはピーラーの使い方を教えてもらった時に感じたものと同じ。それに気がつき、藍の頬が熱くなった。
ドキドキしすぎてなにがなにやらわからない。
「ひとつ屋根の下にいても、なにも起こらなかったという」
「ああああ、あれですね。そりゃ、私がお子さますぎるし、そんなことが起こらないのは当たり前で……」
「我慢していた、と言ったのは聞いていたか?」
頬に大きな手が添えられる。もう頭の中が沸騰しそうだ。
ただ彼を見つめるだけしかできない自分は、きっと金魚みたいに赤くなっているだろう。
彬がふっと笑った。
「落ちつけ。すぐにどうこうするつもりない。ただ俺はそういう気持ちだということを言いたかっただけだ。そうでなくても君はやや危機感にかけるから」
「へ? どのあたりがでしょうか?」
「そうだな……風呂上がりにパジャマでアイスを食べてたがそのパジャマのボタンが第二ボタンまで外れていて」
「以後……! 気をつけます」
「頼むよ。襲いかからないようにするのが大変なんだ」
これからの結婚生活、いったいなにがどうなってしまうのやらと、いきなり不安になっていると、額を優しくコツンとして、彬が、くくくと笑った。
「そう気を張らなくても大丈夫。なにもかも藍のペースで進めるから」
優しい言葉にホッとする。
まさかこの恋が叶うなんて微塵も思っていなかったから、この先のことなんて今はまったく考えられない。けれど唇に彼の親指が触れてドキンとする。
「キスも、ダメか?」
問いかけられて頭の中でピンクの風船がボンと弾ける。
全然私のペースじゃない……!
もちろん嫌なわけではないけれど、とにかく声が出なかった。
彼がふっと笑う。
「悪い。俺、言ってることがめちゃくちゃだな。藍への気持ちは、全然コントロールできないんだ」
もはや完全にキャパオーバー。
「嫌か?」と、尋ねられてもブンブンとかぶりを振ることしかできなかった。
すると彼は優しく笑い、そっと唇を重ねた。
柔らかな感触に頭の中が幸せ色一色に染まり、そのままポーッとなってしまう。
微動だにできないでいるとくっくと笑った。
「俺も不器用なんだが、藍も相当だな」
「し、仕方ないじゃないですか。だって、私、恋はしないって決めてたし……」
口を尖られてそう言うと頭をくしゃくしゃと撫でられた。
「よかったと思ってるんだよ。お互いにもうほかの人間と恋愛はしないんだし、ふたり一緒に、ゆっくり上達していこう」
確かに彼は恋には慣れていないようだが、不器用だとはいえない気がする。
だって、こんなにもドキドキさせられる。これはいったいどういうカラクリ?
彼の言葉に頷きつつ、藍は内心で首を傾げていた。