藤堂彬の誤算だらけの結婚生活
愛の不思議!
 初夏の日差しがさんさんと差し込む中庭に、たくさんの人が集まっている。レストラン・フェリチタの二階の一室で藍はそれを眺めている。
「あ、もうあんなに人が集まってる。はるちゃん、わっくんと一緒だ。あの人は……三橋さんだっけ? 確か彬さんのお友達。は〜……。はるちゃんのドレス可愛い。やっぱりはるちゃんはグリーンが似合うな〜」
 見知った顔ばかりだが、皆一様にかしこまったスタイルなのは、今日が藍の結婚式だからだ。
 互いに想いを伝え合い、本当の夫婦になったのが約一年半前。その半年後に藍は手術を受けた。
 予定より早くなったのは、その分野の第一人者である外科医がドイツから帰国しているタイミングを逃さないようにするためだ。
 とはいっても、以前の藍ならとても決断できなかっただろう。自由な時間が減るのを嫌がり拒否していたかもしれない。彬と一緒に話を聞いて、決断できたのである。
 手術は成功し経過も良好である。この調子でいけば、夏にはグランピングもできそうだ。これからは、自由になんでもできると言われ、思いついたのが結婚式である。
 もともとは結婚自体を諦めていたから、叶えたい夢の中には入っていなかったけれど、彬と相思相愛になれた途端に、トップに躍り出た。とはいえ、その時点ですでに結婚から一年経っていた。今さらかな?と思いつつも彬に打ち明けると、快諾してくれたのである。
 場所は、藍にとって馴染みがあり、リラックスして式に臨める場所、レストラン・フェリチタだ。ふたりの出会いの場所でもある。
「考えてみたら、私、結婚式って出るのはじめてなんだな。出るとすればはるちゃんの時だって思ってたけど、まさか自分が先だなんて、人生なにがあるかわからないね。はードキドキする。どうしよう、うまくいくかな?」
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