藤堂彬の誤算だらけの結婚生活
 家では極甘で娘にべったりの父だけれど、世間ではそれなりに地位のある人物なのだ。
 資金提供をしている大学病院の研究員に娘との見合いを強要したなんてことが知られたら、場合によっては大変なことになる。
 そうだ、どんなにイケメンでも浮かれちゃだめだ。
 そう考えて、気を引き締めて第二章を読みはじめる。
 ヒロインとヒーローが仕事場である病院で何年かぶりの再会をするシーンだ。ロマンティックな展開だが、今の藍はそれよりもヒロインが仕事をする描写に心惹かれた。
 ——いいなぁ、私も働きたい……。
 そこでまた読むのを止めてサイドテーブルの引き出しから一枚の紙を出す。それはとある大学図書館のボランティア募集のチラシだった。
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