藤堂彬の誤算だらけの結婚生活
 それが最速で結論が出て、やるべきことをやれる流れになっている。
 感動すら覚える。
 優秀な人は、皆こうなのだろうか?
「藤堂さんは父の会社が研究費を出しているプロジェクトのメンバーなんですよね。そんな力関係の相手から、見合いをと言われて断れないのに、本当に申し訳ありませんでした」
 ぺこりと頭を下げると、彼は「いえ」と首を横に振った。
「来たのは私の判断です。あなたに謝られることはありません」
「でも、こういうのってパワハラっていうんですよね」
「そこまでではないですよ。結婚は強要しない。とにかく会うだけでいいと言われましたし。断ろうと思えば断れた」
「そうですか、ならよかった」
 藍はほっと胸を撫で下ろした。
 自己紹介からすぐにそのつもりはないと宣言できたということはそこまで強力な力関係にないのかも知れない。
「こちらこそ、いきなりこういう言い方をして申し訳ないです」
 無表情で彼は謝る。まったく申し訳なさそうでもないがそれについてはなんとも思わない。それどころかありがたかったし、好感を抱いた。
 初っ端から結論を告げたのは、はじめに宣言しておかないと藍に期待を抱かせてしまうかもしれないからだろう。
「いえ、はっきり言っていただけてよかったですよ。その方が安心しますし」
 藤堂がぴくりと眉を動かした。
「安心?」
「私がこのお見合いに期待しないように本当のことを言ってくれたんですよね」
「そうです。その方がお互いに時間を無駄にしなくていいので。でも珍しいな、たいていは少し嫌がられるので」
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