藤堂彬の誤算だらけの結婚生活
「そうですか? 私、心疾患があって小さい頃から何回も手術しているんですけど……。あ、病気のことはお聞きになられておられますよね?」
「はい」
普段なら、病気のことなど初対面の人には話さないが、彼には病名と病状を含めて話をしてあると父が言っていたし、何より彼はドクターだ。
今まで藍が関わった医療関係者は皆信頼できる人たちばかりだった。
そういう安心もあって、言葉が滑らかに出る。
「病状についてちゃんと話してもらえたのって成人してからなんですよね。子供にひどい話は聞かせたくないっていう周りの気遣いは分かりますけど、それって結構つらいんです。今から自分が挑む手術がどれくらい危険かとか、知っておきたいものなんですよ。でも皆んな笑って『大丈夫』しか言わないので。優しさだってわかっててもちょっと……だから、さっき藤堂さんがスパッと結論を言ってくれたのは私は嫌じゃなかったです」
「なるほど」
彼が納得したところで、心が軽くなり藍は紅茶をカップに注ぐ。とにかく今日言うべきことは言えた。
あとはもうこの時間を楽しむだけだ。
「結論は出てるので、藤堂さんにはもうお帰りいただくべきだとは思うのですが、もう少しここにいてもらえるとありがたいです。実はさっきの支配人さん、父のお友達なんです。藤堂さんがすぐに帰っちゃったって知ったら、めんどくさいことになりそうなので」
緊張が解けると言葉がつるつると出る。初対面の相手でも意外といけるタイプらしい。
どのみち結論は変わらないにせよ、会って十五分もしないうちに藤堂が帰ったと知られたら、本当に人となりを知った上でのことなのか?と疑われかねない。
「ちゃんと話をしてないうちに結論を出したって思われたら、もう一回セッティングされそう」
そう言うと、藤堂は頷いた。
「確かに。ではそうしましょう」
「すみません。お忙しいのに」
「いえ、二回目を回避するためと思えば、ここで時間を使っておくのが得策でしょう」
「ですね、せっかくだからこの時間を楽しみましょう。ここのケーキ美味しいんですよ。藤堂さんどれから食べます?」
もはや話が終わった。
あとはここの美味しいケーキを堪能するだけだと思い藍は金色の籠に並んだ小さなケーキを眺めた。
「はい」
普段なら、病気のことなど初対面の人には話さないが、彼には病名と病状を含めて話をしてあると父が言っていたし、何より彼はドクターだ。
今まで藍が関わった医療関係者は皆信頼できる人たちばかりだった。
そういう安心もあって、言葉が滑らかに出る。
「病状についてちゃんと話してもらえたのって成人してからなんですよね。子供にひどい話は聞かせたくないっていう周りの気遣いは分かりますけど、それって結構つらいんです。今から自分が挑む手術がどれくらい危険かとか、知っておきたいものなんですよ。でも皆んな笑って『大丈夫』しか言わないので。優しさだってわかっててもちょっと……だから、さっき藤堂さんがスパッと結論を言ってくれたのは私は嫌じゃなかったです」
「なるほど」
彼が納得したところで、心が軽くなり藍は紅茶をカップに注ぐ。とにかく今日言うべきことは言えた。
あとはもうこの時間を楽しむだけだ。
「結論は出てるので、藤堂さんにはもうお帰りいただくべきだとは思うのですが、もう少しここにいてもらえるとありがたいです。実はさっきの支配人さん、父のお友達なんです。藤堂さんがすぐに帰っちゃったって知ったら、めんどくさいことになりそうなので」
緊張が解けると言葉がつるつると出る。初対面の相手でも意外といけるタイプらしい。
どのみち結論は変わらないにせよ、会って十五分もしないうちに藤堂が帰ったと知られたら、本当に人となりを知った上でのことなのか?と疑われかねない。
「ちゃんと話をしてないうちに結論を出したって思われたら、もう一回セッティングされそう」
そう言うと、藤堂は頷いた。
「確かに。ではそうしましょう」
「すみません。お忙しいのに」
「いえ、二回目を回避するためと思えば、ここで時間を使っておくのが得策でしょう」
「ですね、せっかくだからこの時間を楽しみましょう。ここのケーキ美味しいんですよ。藤堂さんどれから食べます?」
もはや話が終わった。
あとはここの美味しいケーキを堪能するだけだと思い藍は金色の籠に並んだ小さなケーキを眺めた。