藤堂彬の誤算だらけの結婚生活
「でも結構です。父は基本的に温厚なんですが私のこととなると岩のように頑固なんです。誰がなにを言おうともまったく聞く耳持たずなので……。藤堂さんに無駄なお手間をおかけすることになると思います」
「いやそうじゃなくてもっと直接的な協力だよ」
「……直接的?」
「そう。つまり君と僕が結婚をするというのはどうだろう? そうすれば君はお父さんと離れられる。俺との同居になるから、ひとり暮らしとはいえないが、俺は君に干渉しないしほとんど研修室にいるから同じようなものだ。もちろん健康状態を見ながらではあるが外出も制限しない」
突拍子もない提案に、藍はぽかんとしてしまう。
なぜ結婚なんてワードが出てくるの?と思ったところで今自分たちが見合い中だということを思い出した。
だからといってなるほどいい案ですね、とはもちろんならない。
「ずいぶん驚いているようだし、まあ無理もないが極めて合理的な提案だ」
そう言って彼は、喉を潤すためかコーヒーではなく水を飲む。
「君は手術を受ける前に自由な生活をしてみたい。その間、俺と結婚していればお父さんから離れて自由な生活ができる。俺は医師だから体調と病状から判断する。ダメなものは許可できないが、確実にお父さんよりは範囲が広がるだろう」
確かに彼が判断するなら、医師としての基準だけになる。
藍が可愛いからとか心配だからという、父特有のバイアスが取り払われるのだ。それだけでも随分と範囲が広がるはずだ。
そう考えるととてもいい案に思える。とはいえ、なぜ彼がそこまでしてくれるのかが疑問だった。
問いかける前に答えが出る。
「それにこれは俺にとってもメリットがある話だ。今開発中の新薬を完成させるまで、資金の面での心配がなくなる。今回は見合いをすることで回避できたが、今後もどうなるかわからない。俺は大学の中では敵が多くてね。愛想を振りまくということができないから」
「愛想よくしていないと、研究費がなくなるのですか?」
「そうらしい。だが、君のお父さんが味方についてくれているとその心配がなくなる。薬の実用化までは一年か長くて二年かかるからそれまでの間、大須賀製薬社長の娘婿でいられるのにはメリットがあるというわけだ」
「いやそうじゃなくてもっと直接的な協力だよ」
「……直接的?」
「そう。つまり君と僕が結婚をするというのはどうだろう? そうすれば君はお父さんと離れられる。俺との同居になるから、ひとり暮らしとはいえないが、俺は君に干渉しないしほとんど研修室にいるから同じようなものだ。もちろん健康状態を見ながらではあるが外出も制限しない」
突拍子もない提案に、藍はぽかんとしてしまう。
なぜ結婚なんてワードが出てくるの?と思ったところで今自分たちが見合い中だということを思い出した。
だからといってなるほどいい案ですね、とはもちろんならない。
「ずいぶん驚いているようだし、まあ無理もないが極めて合理的な提案だ」
そう言って彼は、喉を潤すためかコーヒーではなく水を飲む。
「君は手術を受ける前に自由な生活をしてみたい。その間、俺と結婚していればお父さんから離れて自由な生活ができる。俺は医師だから体調と病状から判断する。ダメなものは許可できないが、確実にお父さんよりは範囲が広がるだろう」
確かに彼が判断するなら、医師としての基準だけになる。
藍が可愛いからとか心配だからという、父特有のバイアスが取り払われるのだ。それだけでも随分と範囲が広がるはずだ。
そう考えるととてもいい案に思える。とはいえ、なぜ彼がそこまでしてくれるのかが疑問だった。
問いかける前に答えが出る。
「それにこれは俺にとってもメリットがある話だ。今開発中の新薬を完成させるまで、資金の面での心配がなくなる。今回は見合いをすることで回避できたが、今後もどうなるかわからない。俺は大学の中では敵が多くてね。愛想を振りまくということができないから」
「愛想よくしていないと、研究費がなくなるのですか?」
「そうらしい。だが、君のお父さんが味方についてくれているとその心配がなくなる。薬の実用化までは一年か長くて二年かかるからそれまでの間、大須賀製薬社長の娘婿でいられるのにはメリットがあるというわけだ」