藤堂彬の誤算だらけの結婚生活
 キッチンには調理器具が散らばっている。なにやら食材もあるが、なにを作っているのかはわからない。
 もし自分が帰ってくる前に終わらせようと思っていたのなら、相当見込みが甘い。
 もしここが研究室だったら、パワハラにならない程度にひと言言うところだがここは家。彼女は自分とは関係ないと思い、グッと堪える。
「べつにかまわないよ。そのまま続けて。俺はテイクアウトを持って帰ったから先に食べさせてもらうが」
 コスパを考え、自炊する方がいい時は迷わずそちらを選択できるようにひと通りのことはできる。だが今日は、疲労具合と夜の仕事を考えると、テイクアウトの方が効率的だと考えたのだ。
「レンジで温めても?」
「もちろんです。どうぞ」
 もともとはファミリータイプの物件だから、キッチンは広く、ふたりがそれぞれ作業をしていてもまったく気にならない。
「そういえば先日友達を呼ばせていただきました。ありがとうございました」
「ああ、そうだったな」
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